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ポジショニング方法の統一による拘縮の改善事例

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このタイガーロールでは、ポジショニング方法の統一による生活課題の改善が見られた事例を紹介いたします。
本タイガーロールを通じて、ご入居者の生活支援につながることをご理解いただき、データでの振り返りなどにお役立てください。

対象のご入居者

・年齢:94歳
・介護度:5
・障害高齢者の日常生活自立度:B2
・認知症高齢者の日常生活自立度:Ⅲb
・食事、入浴、排泄の全ての面で介助が必要

以前よりADLが低下し、ご自身で食事がとれなくなってきている方。
体の拘縮により、臥床時や車いすに座っている際に姿勢がねじれている。

そこで、臥床時のポジショニングに注目し、ポジショニング方法を統一することで、筋緊張が緩み、食事が取れるようになるのでは?と仮説を立て、取り組みを開始した。

また、ポジショニングの統一をすることで、ライフリズムナビのデータ上で睡眠の質に変化が見られるか確認を行った。

ポジショニングの統一

新たなポジショニングを検討し、2か月の評価期間を設けて、ポジショニングの統一を行った。
主に以下のような取り組みを実施。

ご入居者に適したクッションの選定

OT(作業療法士)、PT(理学療法士)やメーカーと連携し、ご入居者に適したクッションの選定、除圧の数値測定を実施。

複数のクッションを使用して、本人に適用するものの選定を進めた。
※施設のクッションや、タオルで行うのも有効

ランドマークを意識したポジショニングの選定

◾️ポジショニングとは
寝たきりや身体機能が低下している方が、快適かつ安全に過ごせるように体位を調整すること。クッションやベッドの角度などを工夫し、身体にかかる圧力を分散させたり、関節の拘縮を防いだりすることが主な目的。

◾️ランドマーク式とは
介護のポジショニングにおいて、「ランドマーク」という概念は、肘、膝、肩など身体の動きの中心となる関節を指す。
これらの関節の動きを制限しないように、クッションや体位を調整をすることで、より正確かつ安全なポジショニングに繋がる。

【参考】4つのランドマークで、体の歪みをチェック!

基本的なランドマークとして、左右の肩の先端と腰骨の4点に注目をしましょう。
この4点を結ぶことで、体の軸がまっすぐか、ねじれているか、傾いているかが一目瞭然。
臥床中の体制の写真を撮って比較したりすると確認しやすくおすすめです。

歪みの例

捩れの確認ポイント
左右の肩や、腰骨を結んだラインが平行かどうか。

傾きの確認ポイント
肩と腰骨、反対側の肩と腰骨を結んだラインの長さに違いがあるかどうか。

取り組みによるご入居者の変化

姿勢の改善
ポジショニングを変更し2ヶ月の評価で臥床時、長座位ともに、改善がみられた。

食事意欲の増加
車椅子に座っている時の姿勢が安定した事により、食事への意欲が増加した。

これまではベッド上で起こしながら食事介助をしていたが、ご自身で召し上がられるようになった。

睡眠時の歯ぎしりの改善
臥床時にも姿勢が改善することで呼吸がしやすくなり、以前みられていた歯ぎしりに改善がみられた。

睡眠にも傾向が見えた
睡眠ログ上では大きな変化はみられなかったが、詳細データを参照すると、睡眠深度の波が細かくなっている様子がみられた。

ポジショニング実施前と実施後のデータを比較すると、深い睡眠の割合の多い日が徐々に増えた。

【参考】典型的な夜間睡眠パターン

睡眠は深いノンレム睡眠(段階3と4)から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて徐々に浅いノンレム睡眠(段階1と2)が増えてゆきます。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に一回ごとのレム睡眠時間が増加してゆきます。

引用元:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 眠りのメカニズム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-002.html

取り組みによる睡眠深度の変化

深い睡眠の割合が増え、睡眠の質がより理想的な睡眠波形に近づいたのではないか、と考えられる。

まとめ

このタイガーロールでは、臥床時のポジショニングを変更することで、食事意欲の増加や、歯ぎしりの減少・睡眠深度の変化など良い影響が表れていることが確認された事例をご紹介しました。

取り組みを行うにあたり、目で見えるご入居者の変化だけでなく、ライフリズムナビのデータからも変化が見えるため、改善していることの実感を持ちながら取り組むことができます。ぜひライフリズムナビのデータを併せてご活用ください。

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